コンサート感想 1998

1998年2月10日(火) 愛知県芸術劇場コンサートホール
朝比奈 隆指揮

大阪フィルハーモニー交響楽団
矢部 達哉(ヴァイオリン)

1.ブラームス作曲 ヴァイオリン協奏曲 ニ長調
2.ブラームス作曲 交響曲第1番 ハ短調
まず、矢部達哉のヴァイオリンで始まった。
NHKの朝の連続ドラマ「あぐり」の主題歌を演奏していることで有名な矢部氏であるが、
音の線が実に細く、軽いブラームスになっていた。
確かに技巧的にはうまいものをもってはいるが、ブラームスの重厚さに負けてしまっていた。
しかし、矢部氏の持つ柔らかさのある音色を十分発揮できる第2楽章は評価できる内容だった。
交響曲第1番では、何もコメントするべきことがない。というくらい充実した演奏だった。
曲のあうんを知り尽くしているかのような見事な演奏で、長年つきあった者同士でなければ
成しえない呼吸が伝わってきた。
このような息の合ったブラームスは度々聴けるものではない。
日本的かつドイツ的かつブラームス的をうまく融合させた名演奏だと思った。

1998年7月4日(土) ウィーンムジークフェラインザール
ウィーンモーツアルトオーケストラ
1.モーツアルト作曲 歌劇「ドンジョバンニ」序曲 K.527
2.モーツアルト作曲 ディベルティメント〜プレスト K.136
3.モーツアルト作曲 歌劇「フィガロの結婚」〜アリア K.492
4.モーツアルト作曲 ホルン協奏曲第3番 K.447
5.モーツアルト作曲 歌劇「フィガロの結婚」〜序曲 K.492
6.モーツアルト作曲 交響曲第40番〜第1楽章 K.550
7.モーツアルト作曲 歌劇「コシファントッテ」〜アリア K.588
8.モーツアルト作曲 アイネクライネナハトムジーク〜第1楽章 K.525
9.モーツアルト作曲 歌劇「魔笛」〜パパゲーノ K.620
かのウィーンムジークフェラインザールでしかも1階席の前列でモーツアルトを聴いてきました。
いやはやVIPにでもなったみたいだった。さすがに音響はいい。
これがウィーンフィルだったらという仮定はさて置き、モーツアルトの時代のコンサート形式で
モーツアルトの格好をしたオーケストラが楽しいコンサートを聴かせてくれた。
演奏の感想よりもムジークフェライン!このロケーションにつきる。

1998年10月23日(金) 愛知県芸術劇場コンサートホール
クラウディオ アバド指揮

ベルリンフィルハーモニー管絃楽団
エマニュアル パユ(フルート)

マリー ピエール ラングラメ(ハープ)
1.モーツアルト作曲 フルートとハープの為の協奏曲
2.ブルックナー作曲 交響曲第5番変ロ長調(ノヴァーク版)
初めて聴くベルリンフィルはあまりにもがっかりしたものだった。
まずモーツアルトが演奏された。これはなかなか聴き応えがあった。
ハープの絶妙なタッチはこれぞ一級品と思えるアンサンブルバランスだった。
しかし、次のブルックナーは全然ダメ。随所にベルリンフィルならではのサウンドが聴けたが
長続きしない。長旅の影響で疲れているのだろうか?アバドのツカミもいまいち。
ブルックナーファンの私にとっては、期待を裏切られる演奏だった。
やはり、アバドはブルックナーには向いていないようだ。