コンサート感想 2012

2012年5月29日(火) 愛知県芸術劇場コンサートホール
小林研一郎指揮
名古屋フィルハーモニー交響楽団

第18回 タイホウグループ スプリングコンサート

1.ベートーヴェン作曲  交響曲第7番イ長調 作品92
2.ヴェルディ作曲    歌劇『アイーダ』より「凱旋行進曲」
3.チャイコフスキー作曲 バレエ『くるみ割り人形』 作品71より
4.チャイコフスキー作曲 序曲『1812年』 作品49

アンコール
マスカーニ:カヴァレリア・ルスティカーナ より間奏曲

ベートーヴェンは、アッチェランドぽいイメージで、圧倒的な力強さで物語っています。
一番よかったのは、第3楽章のトリオが短く回想される部分で、トランペットが悠然と歌ってくれます。
ヴェルディでは、アイーダトランペットを持ち、凱旋行進曲を歌う姿にいいなあと思いました。
チャイコフスキーは、くるみ割り人形の抜粋で、行進曲、こんぺいとうの踊り、トレパーク、
花のワルツを指揮しましたし、序曲『1812年』では、高々に歌うマーチを
愛知県芸術劇場コンサートホールをバックで吹奏楽団のメンバーで歌ってました。


2012年6月5日(火) 電気文化会館 ザ・コンサートホール  
トヨタホーム名古屋 New Artist Classic Stage

矢田由紀子 ピアノリサイタル

1.ベートーヴェン作曲 ピアノ・ソナタ 第8番 ハ短調 Op.13「悲愴」
2.リスト作曲 バラード 第2番 ロ短調
3.ベートーヴェン/リスト作曲 “アテネの廃墟”の主題によるトルコ風カプリッチョ
4.ムソルグスキー作曲 組曲「展覧会の絵」

ベートーヴェンの悲愴は、ピアノのタッチをまだ自分の物にしていない様子でした。
第1楽章からffの響きが合いそうで、若干合わない。
たぶん調教師はわかるだろうけど・・・
それはさておき、第2楽章の豊かな表現はさすだ!と少しだけ感動した。
(昔、高校時代に吹奏楽部に所属していましたが、悲愴をアレンジして、
4人のクラリネットとして出場して、第3位だったなあということを思い出していました。)

また第3楽章は、間髪入れずに演奏した為、気合が入っているなあと思いました。

リストのバラードは、高音から低音まで幅広い音符を自由に描いた好演。

ベートーヴェン/リストのアテネの廃墟”では、トルコ行進曲の自由気ままなタッチで進行する姿は、
もっと聴きたい雰囲気にさせてしまう素晴らしい演奏。


20分の休憩をいうことでロビーに出てみると、ワインのサービスがあり、ワインの白を頂いたが、
風味という舌に絶品で、さすがトヨタホームのできる技と思ってしまった。


最後に、ムソルグスキーの組曲「展覧会の絵」ですが、最初だけミスタッチがあったが、
プロムナード(5番目がいい)や古城や、卵の殻をつけたヒナの踊り、
サムエル・ゴールデンベルクとシュムイレ、ババヤカーの小屋、キエフの大門などは、
原典版として大事なひた向きさを表現していました。


5番目のプロムナードは、オーケストラ版(ラベル版)にはカットされています。
オーケストラ版との聴き比べもいいかもしれません。


2012年7月20日(金) 愛知県芸術劇場コンサートホール

小林研一郎 (指揮/桂冠指揮者)
有希 マヌエラ・ヤンケ* (ヴァイオリン)
名古屋フィルハーモニー交響楽団

コバケン・スペシャル ファイナル(Vol.24)

1.ベートーヴェン作曲 ヴァイオリン協奏曲ニ長調 作品61*
2.ベートーヴェン作曲 交響曲第6番ヘ長調 作品68『田園』
3.ソリスト アンコール
  エルンスト 夏の名残のバラより「庭の千草」
4.本日のアンコール

  アイルランド民謡 ロンドンデリーの歌(ダニー・ボーイ)

今日は、コバケン・スペシャル ファイナル(Vol.24)に行って来ました。
観客は超満員でさすが、小林研一郎だ!と叫びそうになってしまった。

さて、演奏ですが、有希 マヌエラ・ヤンケのヴァイオリンが堂々たる作品でベートーヴェンのなんたるかを教えてくれます。

ベートーヴェン: ヴァイオリン協奏曲ニ長調 作品61
第1楽章の有名な木管楽器が柔和な第1主題を奏でるとやるねとご機嫌な様子で、演奏に酔ってしまいます。

第2楽章では、独奏ヴァイオリンが新しい旋律を歌い始めて中間部に入ると紅一点に演奏して、
最後に重厚な響きを出すとここから独奏ヴァイオリンの短いカデンツァとなり第3楽章になだれ込む。

そして、一番の見どころである輝かしいクライマックスを築いて全曲の幕を閉じるのは圧巻です。

ベートーヴェン: 交響曲第6番ヘ長調 作品68『田園』
第1楽章から酔っています。テンポがゆっくりしており、「田園」もこれもいいかも、と思ってしまう。

第2楽章も遅いが、第3~5楽章は、いい感じなテンポで進んています。
一番良かったのは、木管楽器が奏でる楽しく素朴な農民の集いです。
踊りや田舎の楽隊(音域の狭いオーボエ、「ファ」と「ド」の音しか出せないファゴット)を模した旋律で表現したスケルツォかな。
また、オーストリアの田舎のダンス音楽の形をとっている農民の集いやダンスでも合っているかなと思います。

ちなみに豊田章一郎(トヨタ自動車名誉会長)もコンサートに来てました。


2012年7月24日(火)愛知県芸術劇場コンサートホール

オルガン奏者:大塚直哉

1.C.ランゲ:幻想曲(ファンタジア)
 (1598-1664 フランス)
2.C.フランク:3つの小品より幻想曲イ長調
 (1911-1940 フランス)
3.J.アラン:幻想曲第2番op.73
 (1822-1890 ベルギー→フランス)
4.J.S.バッハ:幻想曲ハ短調BWV562
5.J.S.バッハ:トッカータとフーガニ短調BWV565
 (1685-1750 ドイツ)

日本のコンサートホールでは、ステージの奥などに様々な形をした“パイプオルガン”が備え付けられているのを
よく見かけます。
どのように製作されているかご存知ですか?
実はそのすべてがオーダーメイドです。
ホールの規模や条件に応じて、オルガンビルダーと呼ばれる製作者が、何年もかけて理想的な音響空間を作り上げます。
ホールと一体化した“オルガン”は、唯一のものであり、世界中どこを探しても同じものは存在しません。
その中でも、愛知県芸術劇場コンサートホールの“オルガン”は、ドイツのカール・シュッケ社製作のもので、
ホールとしても理想的な残響時間2.0秒を実現しています。

さて、オルガン奏者である大塚直哉は、東京藝術大学楽理科を経てチェンバロ専攻しています。
オルガンもチェンバロも独特な演奏でバロック音楽に精通しています。
もっと話ながら音楽を紐解いてほしかったな・・・

 

2012年8月30日(木) 18:45開演 愛知県芸術劇場コンサートホール

公益社団法人 名古屋中法人会 設立記念
SUMMER CONCERT ~若手音楽家と名フィルを楽しむ夕べ~


指揮:角田 鋼亮
ヴァイオリン:島田 真千子
ピアノ:田村 響
名古屋フィルハーモニー交響楽団

1.ニコライ:歌劇「ウインザーの陽気な女房たち」序曲
2.メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 op.64
3.ラフマニノフ:ピアノ協奏曲 第2番 ハ短調 op.18

アンコール
バッハ  無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第3番 第3楽章 ラルゴ
ショパン 幻想即興曲

公益社団法人 名古屋中法人会 設立記念、SUMMER CONCERT ~若手音楽家と名フィルを楽しむ夕べ~ 
ということで、愛知県芸術劇場コンサートホールに行って来ました。

まず、ニコライの歌劇「ウインザーの陽気な女房たち」序曲の演奏ですが、
ニコライ自身がウィーンフィルの創設に寄与したと言われており、この名古屋フィルでもいい演奏を
かなえておりました。
序章はいまいちの出来ですが、中間部からコーダにかけては凄くよい感じです。

さて、メンデルスゾーンはニコライと同じくツェルターの弟子だったのですが、
今度は、メンデルスゾーンの共有名なヴァイオリン協奏曲 ホ短調の演奏です。
ヴァイオリンである島田 真千子さんは、名古屋市出身で東京芸術大学を首席で卒業したので興味深々。
最初の出だしからやるね!と思えるくらいタッチが絶妙で、独奏ヴァイオリンが技巧的なパッセージを
奏でいるのには参った感じ。
しかし、第2楽章では、しばらく重音が続くシーンで眠そうに・・・
そして、第3楽章は、華々しいコーダが置かれ全曲の幕を閉じます。
たぶん、バッハのコンチェルト程度なら問題ないんだけど・・・

アンコールとして、バッハの無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第3番 第3楽章 ラルゴを
演奏してくれた。

そして、今日のとりである田村 響さん(男性です)の演奏で、ラフマニノフのピアノ協奏曲 第2番 ハ短調を
聴きました。
ちなみに愛知県安城市出身です。
昔、チャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番変ロ短調を聴いたことがありますが、あの時は楽譜を忘れてしまい
笑われた経験がありますがどうか・・・
ラフマニノフのピアノ協奏曲 第2番 ハ短調では、ゆっくりとした和音をクレシェンドしながら打ち鳴らすのが
まあまあの出来でしたので、まあ普通かなと思います。
第2楽章では、ロマンスの序奏にてミスタッチがありましたが、まあ無難にまとめていました。
第3楽章では、スケルツォ的な気まぐれな性格が認められ、また抒情的なピアノのバランスからは、
曲の作用を十分楽しめるのですが、あまり良くないのでまだまだだなっと思います。

アンコールでは、ショパンの幻想即興曲が演奏されました。

 

12月12日(水) 18:30~ 愛知県芸術劇場コンサートホール

指揮:後藤龍伸
名古屋音楽大学オーケストラ

ワーグナー:舞台神聖祝典劇「パルジファル」より 第1幕への前奏曲ほか
ベートーヴェン:交響曲 第7番 イ長調 Op.92
レスピーギ:交響詩「ローマの松」
アンコール
ワーグナー:舞台神聖祝典劇「パルジファル」から聖金曜日の音楽


名古屋音楽大学オーケストラの第36回定期演奏会に行って来ました。

まず、ワーグナーの曲を聴きましたが、何か変!?
説明には、舞台神聖祝典劇「パルジファル」より 第1幕への前奏曲と書いてありますが、
第1幕への前奏曲をひねったイメージで演奏されている。
ワーグナーが、ルートヴィヒ2世(ノイシュバンシュタイン城の建築で有名)のために書いた注釈には、
「愛-信仰-:希望?」と書いたと仕えてありますが、どうでしょうか?
でも希望の光には違いありませんね。

ベートーヴェンの交響曲第7番は、コンサートミストレスには少しキツイかと思えるくらい真面目な演奏をしていましたが、
第2楽章では、指揮者の魔術師であるカルロス・クライバーによく似たヴァイオリンにほれ込んでしまいました。
カルロス・クライバーの演奏は昔聴いていますが、少し真似た所があってお似合いかも・・・

15分間休憩後、レスピーギの交響詩「ローマの松」の演奏です。
パイプオルガンに金管楽器郡が、シンセサイザーが右端を、ピアノとハープが左端を陣取り、
オーケストラが中央に配置しています。
シンセサイザーでは小鳥風景を、ピアノとハープでは古代の教歌を歌うとさすがに感動的になります。
第4部のアッピア街道の松では、アッピア街道の霧深い夜あけと古代ローマの進軍道路が「軍隊の行進」として
カピトレ丘へ勝ち誇って登ってゆく。
いいねえ。と思いました。
最後にアンコールとして、ワーグナーの舞台神聖祝典劇「パルジファル」から聖金曜日の音楽を奏でていました。