コンサート感想 2020

2020年12月11日(金) 愛知県芸術劇場コンサートホール

名古屋フィルハーモニー交響楽団
マキシム・パスカル(指揮)
辻彩奈(ヴァイオリン)*


プログラム
1.シャブリエ:田園組曲
2.シマノフスキ:ヴァイオリン協奏曲第2番 作品61*
3.ラヴェル:クープランの墓
4.ベートーヴェン:交響曲第8番ヘ長調 作品93
アンコール
※権代敦彦: Post Festum 〜ソロヴァイオリンのための op.172 より I (委嘱作品)

指揮者のマキシム・パスカルは、フランス指揮界期待のトップランナー。
レ・シエクル、パリ・オペラ座管、トゥールーズ・キャピトル管を初め、
ミュンヘン・フィル、マーラー・ユーゲント管など
ヨーロッパの主要楽団への客演を続けているまさに星的存在です。

まず、指揮者が登場した時、びっくりなんです。
指揮者が手振り!?
普通、長い時間、同じテンポ(速さ)で同じ拍が続く曲だったら、
そのテンポ(速さ)で演奏し続ければいいわけですから、
指揮者も機械じゃないので、不規則な手の動かし方をして、
何か表現に変化をつけたりするわけですよ。
リズムはほとんど完璧に身についていますから
指揮者が多少不規則な動きをしても、
リズムが狂うということはめったに無いです。
つまり、オーケストラの手振り指揮者は有効かと思います。

シャブリエ作曲の田園組曲は、アップテンボのイケイケ田園組曲かと思います。
「牧歌」、「村の踊り」、「森で」、「スケルツォ・ヴァルス」の4曲を
歯切れのよいリズムに大胆な和声を取り入れ
絵画的小曲にまとめていて凄くかっこいいですわ。

シマノフスキ作曲のヴァイオリン協奏曲第2番 作品61*
カロル・マチエイ・シマノフスキは、20世紀のポーランドの作曲家です。
ヴァイオリン協奏曲第2番は、対位法や作曲、和声楽を勉強した際に
インスピレーションを意のままに使いこなす魔法使いなのかなと思います。
R.シュトラウスの影響をもろに受けたようで、
ポーランドの民謡や民族的音楽を取り込んだ曲を
ヴァイオリニストに吹き込んだようなんです。
普通は3部構成の曲なのですが、聴いている限り
1部なのか、2部なのか、複数なのか、
全然理解不能な独奏ヴァイオリンの物悲しい物語と
ポーランド民謡から引用された複雑なリズムに
思いっきり激震されました。

アンコールで、
権代敦彦: Post Festum 〜ソロヴァイオリンのための op.172 より I (委嘱作品) を
ソロで聴きましたが、
シマノフスキの力強い曲には、何か、もの足らないなあっとは思いました。

ラヴェル作曲のクープランの墓
やはり、管弦楽の魔術師であるオーケストレーションは見事で、
フランスのクラヴサン音楽を思い起こされる無窮動風の動機が見て取れます。

ベートーヴェン作曲の交響曲第8番ヘ長調 作品93
マキシム・パスカル(指揮)が、
かの、ベルベルト・フォン・カラヤンを彷彿とされるエネルギッシュが語ってくれます。
楽想も構成もユーモアたっぶりだあるし、パワー溢れる転調とパッセージには
本当に恐れ入りました!