コンサート感想 2025

2025年01月23日(木) 日本特殊陶業市民会館フォレストホール

第94回市民会館名曲シリーズ〈和欧混交Ⅳ/矢代秋雄とフランス音楽〉

(名古屋市民会館名曲シリーズ・特別演奏会)

ロベルト・フォレス・ベセス(指揮)
田所光之マルセル(ピアノ)*
山本友重(コンサートマスター/名フィル特別客演コンサートマスター)

プログラム
1.ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲
2.矢代秋雄:ピアノ協奏曲*
4.ラヴェル:古風なメヌエット
5.ドビュッシー:夜想曲より第1曲「雲」,第2曲「祭」
6.ラヴェル:バレエ『ダフニスとクロエ』第2組曲

ソリスト・アンコール
大澤壽人:富士山

【ロビーコンサートのご案内】

本日〈第94回市民会館名曲シリーズ〉の開演前18:15~、
1階席ホワイエで、ロビーコンサートを開催!

出演は、瀬木理央,尾髙詩音里Vn,池村明子Va,加藤泰徳による弦楽四重奏です。

▼加藤泰徳編:Concerto grosso remodel

日本特殊陶業市民会館フォレストホールで(名古屋市民会館)市民会館名曲シリーズの特別演奏会があったのでお邪魔しました。
すると、弦楽四重奏が聴こえました。
ロビーコンサートです。
曲ですが、現代音楽の加藤泰徳編:Concerto grosso remodelでした。
最近クラシックの室内楽コンサートでなかな渋い演奏だから美しいメロディと弦楽合奏に感動したと思いました。

1.ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲
本作品は一楽章形式の楽曲であり、その全体は総休止やリピート記号などによって明確に区切られることなく、
冒頭から終結に至るまでが一繋がりの音楽として続いて演奏されるのですが9/8拍子から始まるかの有名なフルート・ソロのフレーズをもって
開始されるから単純ではりますが実に鮮烈で忘れ難い印象を与える出だしであります。
特定の音色を持つ1音(ここではフルートの C♯音)を聴いただけでどの曲が始まるのか判ってしまうという点では、
ストラヴィンスキーの「春の祭典」の冒頭のファゴット・ソロ(牧神のそれよりもう半音だけ低いC音)にも匹敵するのかもと思いました。

2.矢代秋雄:ピアノ協奏曲*
今回は田所光之マルセル(ピアノ)で聴きましょう。
ピアノは、スタインウェイですが少し硬いイメージはあります。

第1楽章 アレグロ・アニマート。
四つの主題をもつソナタ形式。
冒頭、ピアノのオクターヴで出る幻想的な第一主題。
透明で神秘的な響き、東洋的な色合いを帯びたメロディ、最高に美しいと思います。

第2楽章 アダージョ・ミステリオーソ。
ピアノがハ音で提示する単調なリズム・オスティナートを43回、繰り返し奏でられる美しくも不気味な幻想と夢魔の世界です。
何でも作曲者が子供の頃、熱を出して寝込んだときに見た「怖い夢の思い出」を曲にしたそうですわ。

第3楽章、アレグロ~ヴィヴァーチェ・モルト・カプリチオーソ
フィナーレはロンドです。
冒頭、弦のユニゾンで力強く奏でられる序奏主題は、なにげに十二音でできています。
つづいてトロンボーンがふにゃけたファンファーレのような不協和なフレーズを吹きますので少し笑えました。

ソリスト・アンコールは、大澤壽人:富士山でした。

3.ラヴェル:古風なメヌエット
ラヴェルの作品の中では初めて出版された作品といわれています。
ラヴェル自身により管弦楽編曲が施されています。
3管編成で書かれており、それを聴いたのですが和声は複雑ではあります。
しかし、構成はシンプルなので聴きやすいかなと思いました。

4.ドビュッシー:夜想曲より第1曲「雲」,第2曲「祭」
「夜想曲」(ノクチュルヌ、ノクターン)はフィールドに始まりショパンが発展させた
器楽曲の1ジャンルです。
「雲」と「祭」の2曲を初演したのでちょっとだけ絵画を連想するテーマとなります。
空の雲のゆっくり流れて消えていく様を描写した曲。
祭の盛り上がりと祭の後の静けさが描かれている曲。
さまざまな印象と光の特別な効果のすべてを意味する曲かなと思いました。

5.ラヴェル:バレエ『ダフニスとクロエ』第2組曲
この組曲は「夜明け」から「パントマイム」を経て「全員の踊り」で終結する曲です。
「夜明け」は文字通りの夜明けの描写であり、「全員の踊り」は登場人物総出の舞踏の場面であるから解り易いと思いました。
結果、なかなか派手な曲だから嬉しいかなと思いました。










2025年03月29日(土) 日本特殊陶業市民会館フォレストホール

第95回市民会館名曲シリーズ
〈和欧混交Ⅴ/外山雄三、山本直純とシベリウス〉

市民会館名曲シリーズ
2025.03.29 (土) 16:00

Niterra日本特殊陶業市民会館フォレストホール
(市民会館名曲シリーズ・特別演奏会)

出演
川瀬賢太郎(指揮/名フィル音楽監督)
名古屋少年少女合唱団(児童合唱)
小川響子(コンサートマスター/名フィル コンサートマスター)
川瀬賢太郎(指揮/名フィル音楽監督)名古屋少年少女合唱団(児童合唱)

プログラム
1.外山雄三:交響曲「名古屋」
2.山本直純:児童合唱と管弦楽のための組曲「えんそく」
3.シベリウス:交響曲第1番ホ短調 作品39

ロビー・コンサート
シベリウス:弦楽三重奏のための組曲 イ長調 JS186
小川響子(ヴァイオリン)、小泉理子(ヴィオラ)、佐藤有沙(チェロ)。

これは、シベリウスの弦楽三重奏です。
実演は、とっても珍しいかなと思います。
不思議な絵本の中のような…シベリウス、24歳頃の作品でした。

1.外山雄三:交響曲「名古屋」

当時開局15周年を迎えた「中京テレビ」による委嘱作品で「名古屋」をテーマにした
全4楽章から構成される演奏時間およそ25分のシンフォニーです。
昔、LPで持っていましたがもうありません。
1984年初演で今は2025年だから、40年ぶりの生演奏を聴きました。

交響曲の各楽章のテーマですが、
第1楽章:熱田神宮の1月行事”踏歌神事”の催馬楽、名古屋城築城の木遣り等による幻想曲。
第2楽章:「北設楽郡」の田植え歌「田峰田楽」、美濃地方の「谷汲踊(ばしょう踊)をテーマにしたスケルツオ楽章。
第3楽章:「子守唄」。
第4楽章:「木曽川護岸工事唄」をテーマにしたロンド形式によるフィナーレとなっています。 

日本の原風景も感じ取れ親しみやすい作品だから好きな演奏です。
特に、熱田神宮”踏歌神事”、田植え歌「田峰田楽」、木曽川護岸工事唄は走馬灯のように響きまして、
ヴァイオリンの雅楽的高音や五穀豊穣の豊作楽や木曽川遊びを問えばやはりこれだよねと納得でした。

2.山本直純:児童合唱と管弦楽のための組曲「えんそく」

山本直純:児童合唱と管弦楽のための組曲『えんそく』は、詩人・小説家の阪田寛夫が作詞。全6曲からなります。
1.光る
2.ズンタ・ズンタ
3.おべんとう
4.城あと
5.山の上の合唱
6.家路

明快で愛らしい音楽が、名古屋少年少女合唱団の意外な高度な技術に支えられて
少年少女のポジティブポジションが素晴らしかったかと思います。
さすが山本直純のスペクタクルショーです。

3.シベリウス:交響曲第1番ホ短調 作品39

2025年に生誕160年を迎える、フィンランドを代表する国民楽派の作曲家ジャン・シベリウス。
第1作目の壮大なシンフォニーは次々と現れる美しい旋律やドラマティックな展開に斬新さがあります。
北欧の厳しい冬の気候や広大な大地、深遠な神話の世界を感じさせてくれる人気の作品かと思いました。










2025年04月17日(木) 愛知県芸術センターコンサートホール

トヨタ・マスター・プレイヤーズ,ウィーン(管弦楽)
大植英次(指揮)
名古屋フィルハーモニー交響楽団(管弦楽)
フォルクハルト・シュトイデ(ヴァイオリン)

【プログラム】
0.バッハ:G線上のアリア
1.モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第4番ニ長調 K.218*
2.マーラー:交響曲第5番嬰ハ短調

◇トヨタ・マスター・プレイヤーズ,ウィーン&名古屋フィルハーモニー交響楽団 合同演奏 (指揮/下野竜也)
0.バッハ:G線上のアリア

有名な音楽教授(ウィーン大学)がお亡くなりになったので、G線上のアリアを演奏し、
トヨタ・マスター・プレイヤーズ,ウィーン(ウィーンフィルハーモニー管弦楽団)の
凄く高みある域で荘厳さとして演奏しました。
最後に黙とうしました。

1.モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第4番ニ長調 K.218*

トヨタ・マスター・プレイヤーズ,ウィーン(管弦楽)
フォルクハルト・シュトイデ(ヴァイオリン)
指揮者なしで演奏する自由なスタイルで披露しました。
モーツァルトはまだ若く、19歳でした。
彼のヴァイオリン協奏曲は、ヴァイオリニストとしてのモーツァルト自身での初演でした。
今回は、フォルクハルト・シュトイデがヴァイオリンを担当したのでソロとオーケストラが対話するような形で展開され、
技巧的なパッセージや華やかな装飾が施されていました。
技巧的なフィナーレに向かって加速していくようでした。

2.マーラー:交響曲第5番嬰ハ短調**

実は、交響曲第5番は、基調がニ長調ですが、第1楽章は半音低い嬰ハ(短調)で、第2楽章はイ短調。
そこにはドラマや嵐がありました。
第3楽章のスケルツォは自然の美しさの表現。
アルペンホルンやウィンナ・ワルツが登場して、ウィーン、あるいは、オーストリアの自然が表され、
牧歌的で楽しい雰囲気があります。
第4楽章は、『アダージェット』(アダージョより少し速く)と名付けられていながら、
ドイツ語では『物凄く遅く』と書かれていて、何故か指示が違うのです。
つまり、人間や自然の美しさを味わいながら、テンポは速くせずに1つ1つをゆっくり見て感じながら演奏してほしいという、
マーラーの思いを反映した指示なのでしょう。
これはそうした人間の感情と自然の美しさが融合した音楽なのです。
私が知る限り、弦楽器とハープだけで演奏する交響曲の楽章は他にありません。
それほど特別な楽章なのです。
そして、ホルンの音とともに第5楽章の素晴らしい世界が始まります。
平和で皆が愛し合い、自然の美しさがあり、最後は人間が求める差別のない世界に行き着くのです。
こうして楽章ごとに異なるメッセージが発せられている聴き応えのある作品で、
演奏家も楽章ごとの感情の変化を感じながら弾かないと味が出ない音楽なのです。
よく演奏される曲ですが、細かいディティールを見ながら大きな流れを構成しないといけない。
その双方が出せてこそ5楽章の交響曲が完結するのかなと思います。
隣の奏者が普段と違うので張り合いもあるでしょうし、お互いの相乗効果で、
ウィーンのオーケストラとも名古屋フィルだけの演奏とも違ったマーラーの交響曲第5番を作れるのではないかと思っていました。
なお、この曲で重要なトランペットとホルンのソロはウィーン・フィルの奏者が吹きました。
マーラーの交響曲第5番はいわば宇宙の音楽でです。
それらの全てが含まれているのかなと思いました。










2025年04月24日(木) 日本特殊陶業市民会館フォレストホール

第96回市民会館名曲シリーズ〈ベートーヴェンPLUSⅠ〉

市民会館名曲シリーズ
2025.04.24 (木) 18:45

日本特殊陶業市民会館フォレストホール(市民会館名曲シリーズ・特別演奏会)

出演
アドリアン・ペルション(指揮)
名古屋フィルハーモニー交響楽団
小川響子(コンサートマスター/名フィル コンサートマスター)

プログラム
陳 銀淑(チン・ウンスク):スビト・コン・フォルツァ(Subito con forza)
ベートーヴェン:交響曲第4番変ロ長調 作品60
ベートーヴェン:交響曲第5番ハ短調 作品67『運命』

ロビー・コンサート
窪田健志
ジョエル・ビードリッツキー(打楽器)
(マリンバ・デュオ)
▼ベートーヴェン:エリーゼのために
▼ライヒ:手拍子のための音楽
▼ライヒ:ナゴヤ・マリンバ

聴きどころ

欧米から熱い視線を集めるフランスの指揮者アドリアン・ペルションが
名古屋フィルハーモニー交響楽団が初登場です。
現在、コンセール・ラムルー管弦楽団の音楽監督を務めます。
また、フランス放送フィルハーモニー管弦楽団の首席ティンパニ奏者を務めた経験から
フランス流の交響曲としてを導き出す内容です。
しかも、ベートーヴェン生誕250年に作曲した、ベートーヴェンの様々な作品のフレーズが浮かんでは消えるという
チン・ウンスクの作品を融合させたプログラムが斬新です。

ロビー・コンサート

窪田健志とジョエル・ビードリッツキー(打楽器)のマリンバ・デュオで聴きました。
マリンバ・デュオのメロディーは、鍵盤打楽器の面白さを世に説いています。

ベートーヴェン:エリーゼのために
ライヒ:手拍子のための音楽
ライヒ:ナゴヤ・マリンバ

ベートーヴェンの「エリーゼのために」は、低音まで響くマリンバの音色では十分でした。
スティーブ・ライヒの「手拍子のための音楽」は二人が向き合って手拍子を打つものです、しかも、左右でリズムが違います。
スティーブ・ライヒの「名古屋・マリンバ」は、名古屋音楽大学の名誉教授である栗原幸江氏によって委嘱されました。
世界中で演奏されています2台のマリンバは、楽しかったです。

1.チン・ウンスク:スビト・コン・フォルツァ

チン・ウンスク(陳銀淑)の父親は長老派教会(プロテスタント)の牧師で、
チン・ウンスクが2歳の時に教会にピアノを設置しました。
幼いチン・ウンスクは、ピアノで遊ぶようになり、7歳か8歳の頃には父の教会でおこなわれる結婚式で、
結婚行進曲などを演奏するようになっています。
さて、スビト・コン・フォルツァを聴いたのですが、冒頭の出出しは「コリオラン」の和音が使われていますし、
引用からはじまり、ベートーヴェンの様々な曲の断片が散りばめられています。
しかも、メシアンのトゥランガリラ交響曲の断片もあったような気もします。
良き面白さといった感じかなと思います。

2.ベートーヴェン:交響曲第4番変ロ長調 作品60

ベートーヴェンですが、チン・ウンスクの曲が2管編成で書かれた作品であったので
このままの編成で、ベートーヴェン:交響曲第4番変ロ長調が演奏されました。
これほどの編成で演奏されるベートーヴェンは最近ではほとんど見かけません。
指揮のアドリアン・ペルションは最近の傾向であるノンヴィブラート奏法でこの曲を演奏しました。
ピリオドオーケストラ並みの早いテンポでぐいぐいとオーケストラを引っ張っていきます。
ただ、今回は大編成でのこのスタイルですからやっぱり抑揚が少なく平坦に聴こえてしまいがちかなと思いました。

3.ベートーヴェン:交響曲第5番ハ短調 作品67『運命』

ベートーヴェン:交響曲第5番ハ短調 作品67『運命』も同じ趣向で聴きました。
冒頭の運命の動機もテンポが速いのでやや軽く感じに進みます。
一番びっくりしたのは提示部の繰り返しがなかったことです。
しかし、第4楽章はこちらは提示部をリピートしているのですから、これはどうなんだろうかと思いました。










2025年05月27日(火) 愛知県芸術センターコンサートホール

オービック・スペシャル・コンサート2025

2025/05/27

名古屋フィルハーモニー交響楽団

小林研一郎(指揮/名フィル桂冠指揮者)
清水陽介(チェロ)
笛田博昭(テノール)
朝岡聡(司会)

チャイコフスキー:ロココ風の主題による変奏曲 作品33
プッチーニ:歌劇『トゥーランドット』より「誰も寝てはならぬ」
プッチーニ:歌劇『トスカ』より「星は光りぬ」
カルディッロ:カタリ・カタリ[ピアノ伴奏]
ドヴォルザーク:交響曲第8番ト長調 作品88, B.163

アンコール
ナポリ民謡「オーソレミオ」
民謡「ふるさと」1番3番

チャイコフスキー:ロココ風の主題による変奏曲 作品33
清水陽介(チェロ)さんですが、岐阜出身で2017年14歳で単身ハンガリーに渡欧。
バルトーク音楽高校、ハンガリー国立リスト・フェレンツ音楽大学特別才能育成コースに入学。
2024年同大学を首席で卒業したつわもので小林研一郎も
ハンガリー国立フィルハーモニー管弦楽団(1992年には音楽総監督となった)で
タクトしたのでいわくつきかも知れません。(マーラーも音楽総監督になりました。)
さて、チャイコフスキー:ロココ風の主題による変奏曲 作品33。
この作品は、ロココ様式の響きを含む美しい旋律、柔らかなリズム、そして独特の楽器の使い方特徴としています。
特に変奏曲の作曲というジャンルにおいて、傑作とされており、多くの演奏者や聴衆に愛され続けています。
どの変奏も、驚くほどの瑞々しさで凄かったかとです。

プッチーニ:歌劇『トゥーランドット』より「誰も寝てはならぬ」
笛田博昭《Tenor》は、名古屋芸術大学音楽学部声楽科首席卒業で、第37回イタリア声楽コンコルソ・イタリア大使杯受賞を言う優れものです。
しかも、NHK クラシック音楽サイト「ららら♪クラブ」のファン投票“あなたの好きな日本人オペラ歌手”第一位を獲得ですから聴かないと。
響く!響く!響く!
なんて圧倒的な歌唱力なのでしょう。これは、90点の出来かと思います。

プッチーニ:歌劇『トスカ』より「星は光りぬ」
私の愛の夢は永遠に消え失せてしまったテノールとは、素晴らしいです。

カルディッロ:カタリ・カタリ[ピアノ伴奏]
小林研一郎さんが何とピアノで花を咲かせるというので凄い効果かなと思います。
イタリアのナポリ歌曲。
しっとりとしたバラード調でありながら力強い歌詞が印象的な楽曲です。

アンコールで、ナポリ民謡「オーソレミオ」をピアノ付きで歌いました。
実は、高校時代の音楽の試験で「オーソレミオ」をイタリア語で歌ったので、わかるのですよ。
Che bella cosa e' na jurnata 'e sole
良かったですわ。

ドヴォルザーク:交響曲第8番ト長調 作品88, B.163
ドヴォルザーク「交響曲第8番」を第1楽章から穏やかな雰囲気で、しかし内にパッションを秘めつつ、じっくりオーケストラを歌わせます。
小林研一郎さんの声も入りつつ、オーケストラが全身全霊をかけて、アプローチに答えようとする姿が目に浮かぶようです。
これほどに素晴らしい演奏は中々生まれません。

アンコールで民謡「ふるさと」1番3番を演奏しました。










2025年06月27日(金) Niterra日本特殊陶業市民会館フォレストホール

第97回市民会館名曲シリーズ〈ベートーヴェンPLUS II〉

2025年6月27日 (金) 18:45

Niterra日本特殊陶業市民会館フォレストホール

名古屋フィルハーモニー交響楽団
ヨハンナ・マラングレ(指揮)
森岡聡(コンサートマスター/名フィルコンサートマスター)

1.シューベルト:イタリア風序曲第2番ハ長調 D 591
2.ベートーヴェン:交響曲第1番ハ長調 作品21
3.ベートーヴェン:交響曲第3番変ホ長調 作品55『英雄』

[ロビー・コンサート]
川上裕司,平田愛(ヴァイオリン)、今村聡子(ヴィオラ)、アイリス・レゲヴ(チェロ)
ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第7番ヘ長調 作品59-1『ラズモフスキー第1番』より第1楽章

シューベルトがロッシーニの影響を受けて書いた序曲と、
ベートーヴェンの初期の交響曲《第1番》《第3番『英雄』》を組み合わせたプログラムです。
生涯ベートーヴェンを尊敬し続けたシューベルト、生きた時代が重なる二人の作品の魅力を、
「天賦の才の指揮者」と評されるドイツの女性指揮者ヨハンナ・マラングレが導き出します。

ヨハンナ・マラングレとは?
今回の指揮者はヨハンナ・マラングレという今年36歳のドイツ人指揮者です。
女性の指揮者としては、かなりの有望株です。
バーミンガム市響から「天賦の才の指揮者」と評されるなど、
若手女性指揮者の中でも際立って将来が期待されているコンダクター(conductor)です。
ドイツ、ケルン生まれ。
ベルナルド・ハイティンク、パーヴォ・ヤルヴィなどの教えを受ける有望さがあります。
25年3月にはミュンヘン・フィルを指揮しました。


まず、[ロビー・コンサート]を聴きました。
ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第7番ヘ長調 作品59-1『ラズモフスキー第1番』より第1楽章です。
川上裕司,平田愛(ヴァイオリン)、今村聡子(ヴィオラ)、アイリス・レゲヴ(チェロ)
弦楽四重奏を通して読み解くと、ベートーヴェンをしてベートーヴェンたらしめた代表的傑作の場合でいうと、
おびただしい試み、試行錯誤の積みかさねの末に、主題の誕生してくるのがみられるのだけど、
加工しやすい主題を得るまで、スケッチブックを手放さなかったのであるので
ベートーヴェンという人は、主題を『もぎとった人』と言えば納得でしょう。
それがラズモフスキーの所以かもね。
とてもリッチな気分で聴くことができました。

シューベルト:イタリア風序曲第2番ハ長調 D 591
イタリア風ということでゆっくりとした序奏に始まり、転調を伴って主部は簡素なソナタ形式で書かれた曲です。
民衆たちはシューベルトの序曲に好評を受けたようです。
それはイタリア趣味、とりわけその新しい独裁者ロッシーニにならって作曲されているのがわかります。
ベートーヴェンを尊敬し、ロッシーニの影響を受けた20歳のシューベルトによる作品です。
チャーミングな曲が、しっかりチャーミングに仕上がっています!
展開部を持たないあまりこった書き方をされていない序曲です。
音楽的にしっかりしており、とても丁寧にきちんと作曲された管弦楽曲だと思いました。
ベートーヴェン:交響曲第1番ハ長調 作品21
古典派の時代において、大規模な交響曲を構成する方法として調性の支配力はロマン派時代よりも強固だったので、
その曲の調性を聴衆に提示することは重要なことでした。
それゆえにこの意表を突く導入が聴衆に与えた混乱の大きさは計り知れませんでした。
序奏の調性が主調と異なる交響曲の例はハイドンの晩年の作品に見られますが、
その多くは長調の同主短調によるもので主調への復帰が予感させるものがほとんどです。
そういった意味で下属調での開始はまさに前代未聞と言えましょう。
全曲通して言えることは、序奏と主部の関係、楽章間のつながりがとても深いということです。
こうした交響曲の設計法について師ハイドンから学ぶことは多かったと伺えますが、その緻密さ、壮大さは彼を凌駕しています。
そしてそれは前述したようなベートーヴェン独自のアイデアによるものなのです。
ヨーロッパのよさをアバドから受け継いだ新クラシック音楽を表現豊かに斬新さを持って素晴らしいポジティブさで語っていました。
一番凄いのが第2楽章の掛け合いです。
モーツァルトのジュピターを感情楽章すると、楽しいベートーヴェンの掛け合い化するのかもね。
キビキビとした動作で小柄な体を大きく見せるためのアクションは見ていても清々しいものです。

ベートーヴェン:交響曲第3番変ホ長調 作品55『英雄』
ベートーヴェン『英雄(エロイカ)』を音楽史上の金字塔的大傑作と思いますので前のめりで聴いたのですが気負うことなく、
すっきりしなやかに音楽を推進させますのが面白かったです。
作曲技法・構成・曲想・楽器編成など、どこを取っても非常に画期的な作品として出来上がっており、
今でも色褪せることのない屈指の名曲であることは間違いありませんかと思います。
フランス革命から十数年、ベートーヴェンは音楽で革命を起こしたのです。
「自由」「平等」という革命の理念をヨーロッパ中に拡げようと力を尽くしました。
つまり、指揮者で言うならば、ベルナルド・ハイティンクでなく、パーヴォ・ヤルヴィでもなく、
斬新さをヨハンナ・マラングレの解釈で使って音楽にしたのかなと思いました。
特に、音楽的な表現においては、イン・テンポでありながら聴かせ所をさらに強調するような事はありませんでしたが、
時々アクセントにためを作って、旋律腺を強調するような演奏しているねと思いました。









2025年07月18日 (金) 18:45 愛知県芸術劇場コンサートホール

スペシャル・クワトロⅠ<愛知県立芸術大学+名フィル ジョイント・コンサート>

出演
川瀬賢太郎(指揮/名フィル音楽監督)
名古屋フィルハーモニー交響楽団
愛知県立芸術大学管弦楽団(共演)
山本友重(コンサートマスター/名フィル 特別客演コンサートマスター)
川瀬賢太郎(指揮/名フィル音楽監督)愛知県立芸術大学管弦楽団(共演)

プログラム

【県芸大単独演奏】
1.プロコフィエフ:交響曲第1番ニ長調 作品25『古典交響曲』

【合同演奏】
ショスタコーヴィチ没後50年記念⓵
2.ショスタコーヴィチ:交響曲第7番ハ長調 作品60『レニングラード』

プロコフィエフ:交響曲第1番ニ長調 作品25『古典交響曲』

愛知県立芸術大学管弦楽団がプロコフィエフの「古典交響曲」を単独で演奏しました。
2管弦楽団編成の曲です。
キレの良い演奏を期待したのですが、本来はアレグロのテンポなのですが、
学生相手ということでテンポは遅くやや慎重な演奏になっていましたね。
一つ一つの音は揃っているのでまあまあでしょう。
とは言え、大学のオーケストラの中では愛知県立芸術大学管弦楽団の学生たちですから、
もともとアンサンブルには定評がありますから音は綺麗です。
川瀬健太郎も的確な指示で音楽としては纏まっていましたし、
第3楽章は手ぶりでしたので評価は十分合格点でした。

ショスタコーヴィチ:交響曲第7番ハ長調 作品60『レニングラード』

今回のバンダですが、ホルン4、トランペット3、トロンボーン3名というバンダが陣取っています。
こちらではすでに実績がありますから川瀬賢太郎はじっくりと腰を据えて曲を描いていきます。
小太鼓(3台)のリズムにのって楽器を変えながら12回繰り返される変奏も
見事にオーケストラをコントロールしています。
オーケストラの全合奏による暴力的な侵攻が描き出されますが、
2つのオーケストラの響きが相乗効果以上の迫力で聴く者を圧倒していました。
とくにバンダを使った立体感のある金管の響きは真横で聞くと凄く迫力です。
普段聴きなれている曲ですが、ホルンの4重曹はそれだけでも迫力がありました。
この後再現部に入り、もの悲しげなファゴットの響きで奔走の悲惨さを描写していきます。
まさにこの楽章だけで一つの音楽が完結してしまうような巨大さです。
微妙にテンポを揺らしながら大きなストーリーを描き出していて聴く者を飽きさせませんでした。
第2楽章も陰影の濃い表現で、戦争の狂気さと民衆の苦しみを対比的に描いていきます。
この曲では、2台のハープが実に効果的に使用されていることが分ります。
ショスタコーヴィチの交響曲は有名な交響曲第5番でもそうですが、
第2楽章がスケルツォという古典派とは違う構成で、聴く者を飽きさせませんでした。
第3楽章がアダージョとなり、通常はここで心地よくなって寝てしまうのですが、
今回の演奏会、回りの人は誰も船をこぐ人はいませんでした。
この楽章はショスタコーヴィチ特有のコラールの楽章で、雄大なコラールが奏されました。
この楽章でもバンダが活躍して、普段聴くコンサートとは一味違う響きが楽しめました。
この交響曲は4楽章形式で書かれていますが、実際には第3楽章と第4楽章はアタッカで繋がっています。
指揮者をその表情で指示を確認できる様を手にとるように鑑賞できるのも面白いところでした。










2025年08月03日(日) 愛知県芸術劇場コンサートホール

東京大学音楽部管弦楽団 サマーコンサート2025 名古屋公演

開催日時 2025/8/3(日) 13:30 ~ 15:30

プログラム
1.ドヴォルザーク:序曲「謝肉祭」
2.リスト:交響詩「祭典の響き」
3.ブラームス:交響曲第1番 ハ短調

出演者
指揮:田代俊文(当団常任指揮者)
演奏:東京大学音楽部管弦楽団

アンコール
東京大学音楽部管弦楽団サマーコンサートのアンコール
ドイツ民謡の合唱(同声3部):歌声ひびく野に山に

東京大学の音楽部管弦楽団って何?
広く一般に知られている赤門。
本郷キャンパスで安田講堂の近くにはあるのが東京大学音楽部管弦楽団の練習場です。
いっちーさんは、1回、東京大学の赤門から安田講堂を通ってお邪魔した事がありますが、
この時は音楽部があるとは知りませんでした。
しかも、東京大学音楽部管弦楽団はどんな演奏になるのか?わくわくもので聴きたいと思います。

東京大学音楽部管弦楽団とは?
東京大学の学生のみで構成されるオーケストラです。
1920年の発足以来、ベートーヴェンの交響曲第4番の日本初演、マーラーの交響曲第1番の学生初演を行っております。
また、NHK交響楽団の前進である新交響楽団の音楽家、近衛秀麿など音楽家を世に送っています。

ドヴォルザーク:序曲「謝肉祭」
チェコを代表するドヴォルザークの傑作です。
1891〜1892年に3つの演奏会用序曲「自然の中で」、「オセロ」、「謝肉祭」を書いています。
イースター前の肉食を控える期間の前に行うのが謝肉祭であります。
チェコでも仮装パレード等各地で楽しいお祭りがあります。
肉断ちする前に盛大に肉をさばいて食べる、というのが起源なので、
肉屋のマイスターの資格を持つ唯一の作曲家であるドヴォルザークにとっては、
とりわけ印象深いお祭りだったに違いないと思います。
この曲はお祭りや村人の踊りを表すように華やかに始まります。
のどかで田園風な中間部では「自然のテーマ」もゆったりと現れ、
また最後はにぎやかに盛り上がって終わります。
演奏は、自由なソナタ形式で書かれており、民族色豊かな旋律が印象的です。
たぶん・・・1番の出来かな。

リスト:交響詩「祭典の響き」
初めて聴く演奏です。
劇の内容と直接的な関連があるわけではなく、
本当のところはリストがカロリーネ夫人との結婚祝典に演奏することを意図して書かれた作品です。
曲はティンパニーのに導かれて出てくる行進曲風の主題に始まって、いくつかの主題を元に組み立てられており、
祝典劇で輝かしく喜ばしい気分のうちに進められます。
「祭典の響き」という表題を持っていますが、他の交響詩のように詩や絵画に題材をとったものではありません。
つまり、二人のたどった苦難の道を偲ばせる音楽が挿入されるものの、大体はお祭りの喜ばしい気分に溢れています。
たぶん・・・2番の出来かなと思います。

ブラームス:交響曲第1番 ハ短調
まず、緊迫した序奏(ティンパニ)に続いて闘争的な主部がドラマティックに展開する第1楽章に始まりますが、
第2楽章は一転して叙情に満ちた緩やかな情緒に満たされます。
間奏曲風の第3楽章を経て、第4楽章は不安な緊迫感の漂う序奏で始まり、霧を晴らすかのようなホルンの響きと荘重な金管のコラールの後、
広がりのある明朗な主題とともに主部に入って晴れやかで力強い発展が繰り広げられていき、圧倒的な終結に至ります。
良かったとは思いますが・・・
緻密な計算を導き出す手段がもう少し練習を鍛錬すればよい方向に進むのかなと思いました。
たぶん・・・3番の出来かな。

東京大学音楽部管弦楽団のサマーコンサートのアンコールでは、歌声ひびく野に山にドイツ民謡の合唱(同声3部)を演奏しております。
オーケストラで歌声ひびく野に山にに弦楽器の皆さん、金管楽器の皆さんに合わせて合唱しまして感動しましたが?
そこでアンコールを皆様でも歌いましょう!
と言う事で今回は、東京大学の仲間の中で、
ヴァイオリンの瀬戸のお嬢様と
ヴィオラの春日井のお嬢様と
学生指揮者の東海高校のお兄様でブラームスの交響曲第1番の一部を取り付けての
歌声ひびく野に山にを同声3部でナイスフォローで歌って終わりました。
まあ、こう言う志向もいいかもね。