独断!音楽家いっちーが体験した最高のコンサートを紹介

コンサートランキング

順位

年月日

場所

演奏家

主な曲

1993年 4月18日

愛知芸術劇場
コンサートホール

セルジュ・チェリビダッケ指揮
ミュンヘンフィルハーモニー管弦楽団

チャイコフスキー作曲 交響曲第6番「悲愴」

1997年 3月7日

NHKホール

朝比奈 隆指揮
NHK交響楽団

ブルックナー作曲 交響曲第8番

1992年 3月7日

名古屋市民会館
大ホール

ジュゼッペ・シノーポリ指揮
ウィーンフィルハーモニー管弦楽団

マーラー作曲 交響曲第1番「巨人」

1996年 12月20日

NHKホール

シャルル・ディトワ指揮
NHK交響楽団
マルタ・アルゲリッチ(ピアノ)

ショパン作曲 ピアノ協奏曲第1番
ベルリオーズ作曲 幻想交響曲

1986年 5月13日

名古屋市民会館
大ホール

カルロス・クライバー指揮
バイエルン国立管弦楽団

モーツアルト作曲 交響曲第33番
ブラームス作曲 交響曲第2番

1996年 9月30日

サントリーホール

ズビン・メータ指揮
ウィーンフィルハーモニー管弦楽団

ブルックナー作曲 交響曲第8番

1996年 3月31日

サントリーホール

若杉 弘指揮
NHK交響楽団

ブルックナー作曲 交響曲第8番

1997年 6月6、7日

NHKホール

シャルル・ディトワ指揮
NHK交響楽団
竹澤恭子(ヴァイオリン)

シベリウス作曲 ヴァイオリン協奏曲
プロコフィエフ作曲 交響曲第6番

1997年 10月14日

名古屋市民会館
大ホール

ベルナルト・ハイティング指揮
ウィーンフィルハーモニー管弦楽団
内田光子(ピアノ)

シューマン作曲 ピアノ協奏曲
ベートーヴェン作曲 交響曲第3番

10

1994年 10月14日

名古屋市民会館
大ホール

サー・ゲオルグ・ショルティ指揮
ウィーンフィルハーモニー管弦楽団

R.シュトラウス作曲 交響詩「ティル オイレンシュピーゲルの愉快な悪戯」

次点

1992年 4月26日

オーチャード
ホール

チェコフィルハーモニー室内合奏団

ヴァッセナール泊作曲
コンチェルトアルモニコ第4番

 

 

独断コンサートランキング感想

1位
最も感動したコンサートは、チェリビダッケ氏率いるミュンヘンフィルの「悲愴」でした。
圧倒的な精神的パワーと肉体的パワーがぶつかり合うスケールの大きい演奏で、
コンサートホールがあまりに狭く、彼らを受け止められなかったくらいだった。
これを聴いた後、他のどのような演奏家の「悲愴」も聴きたくなくなった。

2位
朝比奈氏のブルックナーも人生最良の演奏だった。
朝比奈氏自身が人生という戦いの場に赴き勝利するといったストーリーが、
この演奏にはあったのではないかと思う。
演奏後10分以上続いた拍手、ヴラヴォーの声、そして観客全員のスタンディングオーベーション。
大変よい体験をしたと感謝している。

3位
初めて聴くウィーンフィルが、シノーポリ氏の「巨人」だったことも忘れられない出来事でした。
C.クライバー氏の病気により代理として指揮したシノーポリ氏であったが、
マーラー指揮者としてのシノーポリ氏を再認識するとともに、
ウィーンフィルのサウンドを好きになるきっかけになったのもこのコンサートでした。
演奏会が終わり、楽屋裏でもらったシノーポリ氏の直筆サインは、宝物の一つです。

4位
ディトワ氏とアルゲリッチ女史の競演は、ピリピリした緊張が伝わり、一流の凄さを感じた。
アルゲリッチ女史が、ピアノを演奏し始めると観客は、まるで麻薬のように陶酔してしまう。
この演奏では、まさに絶頂の感動をいただいた。また、別日に直筆サインもいただいた。

5位
C.クライバー氏の演奏は、実にショッキングだった。音楽の完璧さは言うまでもないが、
演奏を楽しむといった趣が強く、最も庶民的なクラシックとして心の中に残っている。
C.クライバー氏の凄さは、解釈、演奏方法などのレベルが非常に高い反面、
これらを全面に表現せず、さりげなくこなすところではないでしょうか?

6位
賛否両論されるメータ氏のブルックナーは、最も現代的かつストレートな解釈であり、
ブルックナーかくあるべしという格言に一石を投じた演奏だと思う。
また、サントリーホールの1階9列21番という非常に恵まれた席で聴けたこともあって、
メータ氏とウィーンフィルの息の合ったコンビネーションが目の前で体験できた。

7位
若杉氏のブルックナーは、2・4・8番を聴いたが、
その中で8番が最も力強くブルックナーの本質を十二分に表現していたと思う。
NHK交響楽団の弦楽の美しさと力強さが硬派的ブルックナーを表現できた要因であろう。
チェロのみなさんの髪を振り乱した激しい演奏は、忘れられない。

8位
ヨーロッパ公演曲目ということあって、演奏の質は群を抜いていた。
その中で、シベリウスを弾いた竹澤恭子のヴァイオリンが実に美しかった。
また、NHK交響楽団初の名門デッカへの海外レコーディングされたプロコフィエフは、
最高に近い出来映えであった。おかげで交響曲第6番が好きになった。

9位
ハイティング氏の演奏は、「抑制の美学」を肌で感じ取れる理性的かつ構築力のある
ものだった。シューマンのピアノ協奏曲も内田光子というハイティング氏の「抑制の美学」に
最も近い演奏をするピアニストと共に、ウィーンフィルの音色と絶妙な協奏を奏でていた。
また、「英雄」は、知的で高度な演奏で美しさと強さを感じ取れる演奏だった。
ウィーンフィルでしか成しえない崇高な「英雄」だったと思う。

10位
ショルティ氏のシュトラウスは、哲学的アプローチという面が強く、
ティルオイレンシュピーゲル自身になりきることでようやく理解できる音楽だった。
ショルティ氏は、高齢を理由に日本への来日の可能性は少ないものと考えている。
ショルティ氏の演奏を生で体験できる最後かもしれないこのコンサートで、
シュトラウスとの交流を深めた現存する数少ない指揮者の音楽への取り組みを
肌で感じ取ることができ、よい経験をしたと思っている。

次点
チェコフィルの弦楽は、合奏の楽しさをさりげない形で盛り込んでいて、
かつ聞き慣れた名曲を新鮮な風で覆い尽くしたといった印象を受けた。
このコンサートで、いくつかの新たな発見ができ、弦楽合奏に興味がわくようになった。