DMITRI SHOSTAKOVICH Symphonie Nr.7
Leningrad Op.60

指揮:レナード・バーンスタイン
シカゴ交響楽団
POLYDOR POCG-1598/9
重戦車のような重厚かつダイナミックな表現であり、
交響曲の枠を越えてスペクタクル映画でも鑑賞しているような錯覚に陥るほどの名演奏。
晩年のバーンスタインは、平和を願い続けたというが、この演奏にも平和の大切さを感じることができる。
現実に起こった対ナチスドイツとのレニングラード攻防戦について、目を背けるどころか、見つめ直し、
ショスタコーヴィッチの訴える悲惨な現実を余すことなく表現しきったものと思う。

指揮:ルドルフ・バルシャイ
ケルン放送交響楽団
BRILLIANT 6324/4
さすがにショスタコーヴィッチの友人バルシャイだ。
ショスタコーヴィッチの生き証人ということもあり、飽きることなく最後までわくわくさせてくれる演奏を
聴かせてくれる。
ケルン放送SOも味深い演奏で、この曲の持つ強さを見事に表現しているのが良い。
演奏は(というより録音か?)少しくせがあるし、パワー不足の面も否めないが、
楽器の性能の限界か?と思うくらい鳴っているし、ケルンらしいまとめ方だなあと私の評価は高い。
ショスタコーヴィッチ交響曲全集CD11枚で格安の3400円だったが、価値はもっと高い。

指揮:エフゲーニ・スヴェトラーノフ
スウェーデン放送交響楽団
VANGUARD CLASSICS 99043
どちらかといえば地味といった印象を受けるが、細部まで一貫した解釈で演奏されており、落ち着いて鑑賞できる。
ただし、あまりにマイペースな演奏の為、少々飽きが生じるかもしれない。
もし、バーンスタイン氏の演奏を聴いた後にこの演奏に接したのなら、物足らなさを感じるだろう。
スヴェトラーノフ氏は、曲の内面的感情注入を避け、あくまで交響曲としてアプローチしているように思える。

指揮:ユーリ・テルミカーノフ
サンクトペテルブルク・フィルハーモニー管弦楽団
RCA 09026 62548 2
感情を交響曲第7番にぶつける若々しい一面が見え隠れする演奏。
理性ある感情注入と若さ溢れる激しさが全体を包んでおり、
暴走気味のオーケストラも見事にコントロールしているテルミカーノフ氏の指揮の手腕が光っている。
ロシアのオーケストラ独特のサウンドが十分楽しめる好演と思っている。

指揮:アントン・メヌット
ユーゴスラヴィア国立リューブリアナ交響楽団
PCCL-00064
このディスクは非売品ですが、かなり完成度が高い演奏と録音です。
スヴェトラーノフやテルミカーノフの演奏よりもはるかにわかりやすい、はっきりとしたメッセージが
この演奏には感じられます。私はレニングラードを聴く度に高校時代にやっていた吹奏楽の演奏を
思い出します。それはライヴの持つ生々しいサウンドを追い求めてしまうからです。
この演奏には、その生々しい管楽器の、また弦楽器の息遣いが感じられます。
ユーゴスラヴィアという戦争が絶えない、また決して平和とは言えないお国柄のオケですが、
彼らの生き様が聞こえてきそうな真面目でたくましさを感じる演奏です。

指揮:MARK Wigglesworth
BBC National Orchestra of Wales
BIS BIS-CD-873
重厚で美しい響きは魅力的ではあるが、管楽器群が勢いで演奏しているように思える所が何カ所かあったことは残念だ。
つまり、響き(音の長さ)の不安定さから、セクション別の統率が曖昧になっていることを物語っている。
しかし、このような欠点もこの曲の「戦争交響曲」という性質から打ち消され、好演として迎えられるだろう。
私は、美しさと派手さを持つ理性ある野生児的演奏という表現で評したい。